「デザイン・トレンド・ガイド2011」(A4変形判、232頁)が㈱日経BP社から発行された。同書は、「これから売れるデザインがわかる!」をコンセプトに3つの章を設け、売れるデザインを解説している。
「注目セレクトショップから、次のヒット商品を見いだす!」では、イデー、ジ・カバー・ニッポン、フランフランの現場を取り上げ、ヒット商品の定点観測記事を掲載。
「コンペ・アワード詳報から、新しいデザインの芽を見つける!」では、デザインコンペ・アワード総覧と、コンペに勝つための3カ条「主催者の研究」「プレゼン」「負けてもやめない!」を解説。
「世界をリードするイベントから、次のトレンドわかる!」では、出展・視察に役立つ国内・海外デザイン関連見本市総覧や、ヨーロッパ3大見本市のミラノサローネ、アンビエンテ、メゾン・エ・オブジェの徹底比較、座談会「日本のデザイン見本市はこれからこう変わる!」などを掲載している。
(日経BP、3,990円)
今度の国際陶磁器フェスティバル美濃'11は民間主導で再構築する。写真は2008年開催時のセラミックパークMINO会場
「土と炎の国際交流」をテーマ来年9月16―10月23日に開催される国際陶磁器フェスティバル美濃11(主催・同実行委員会)。今回はインテリアデザイナーの神谷利徳氏を総合プロデューサーに迎え、今までにない企画を数多く予定している。前回まで世界を代表する陶磁器展である国際陶磁器展美濃を中心に開催されていた同フェスティバルを、国や自治体だけでなく、多治見市、瑞浪市、土岐市の商業組合や工業組合、地域の店舗や住人などの力を生かした美濃焼産地の産業振興・地域振興事業と国際陶磁器展美濃を2本の軸として展開していく。それにより美濃焼の素晴らしさを発信し、美濃焼ブランドを構築することをコンセプトにした新生フェスティバルとして再構築する。
美濃焼の陶産地の産業振興・地域振興には、多彩な企画が目白押しだ。美濃焼の特徴、歴史や史跡、地域の観光などを総合的に解説した公式ガイドブックを発刊するのもそのひとつ。また、美濃焼をアピールするイベントとして、セラミックパークMINOで、「美濃焼製品の品評&商談会―エンドユーザーによるレッドカーペット」や「わが街歴史探訪―史跡から見る美濃焼の里―」、心身に障害を持った人達の作品展「アール・ブリュット美濃展」などのほか、瑞浪市立旧大湫小学校で「美濃クラフトフェア」、3市の各所で「美濃焼産地のグルメと地酒 食と器を楽しむ」、「美濃焼を活かした盛り付けコンテスト―器季会快―」、セラトピア土岐とセラミックパークMINOで「大美濃焼市」など盛りだくさんのイベントが、地域をあげて開催する。
さらに国際陶器器展美濃に新たに前畑㈱の坂﨑重雄会長の名を冠した「坂﨑重雄セラミックス賞」(2点、賞金50万円)を設定した。このように産地をあげての民間主導のフェスティバルに業界として、今後も注目していきたい。
2010年6月の吹上ホール
陶磁器をはじめとしたテーブルウエア関連業界恒例の新作見本市「第35回名古屋テーブルトップショー」(主催・NTS運営協議会)が来年1月11-13日、愛知県産業労働センター、吹上ホール、デザインセンタービル(ロフトビル)、名古屋国際センタービル、名駅IMAIビルの5会場で開催する。
今回の参加メンバーは20グループ・191社。陶磁器をはじめ、グラスやガラス、食器、漆器や箸、プラスチック類や金属製品などの異業種企業やギフトグループなどが新商品を発表し、販売戦略を打ち出す。
日程は、ロフトビルの新作4社会と、産業労働センターの日本陶磁器協栄会が1月11―13日、ほかはすべて1月12、13日の2日間の開催となる。今回はグループの再編などはないが、二社会がクレールから名駅IMAIビルに、ぬりの華がロイヤルパークイン名古屋からロフトビルにそれぞれ展示会場を変更する。
今回の特別企画展として、グループ吹上の疾風が前回と同様に各社が厳選商品を出品する「我が社の一押し商品」企画展を開催する。これは期間中、吹上ホール1階の特設スペースに展開するもの。
NTSでは、各グループが結集して共同案内・宣伝などに取り組み、全国の百貨店・量販店バイヤーや売り場担当者、陶磁器専門店・生活雑貨店などの取引筋を招き、積極的に商談を交わす。
名古屋テーブルトップショー詳細 ≫
今年で9回目となる国際陶磁器フェスティバル美濃
国際陶磁器フェスティバル美濃’11(主催・同実行委員会)が来年9月16日から、「土と炎の国際交流」をテーマにセラミックパークMINOほかの会場で開催される。
同フェスティバルは、1300年の伝統を誇る美濃焼の魅力と発展のため、1986年から3年ごとに開催しているトリエンナーレ。今回で9回目を迎える同フェスティバルは多治見市、土岐市、瑞浪市が協力して美濃焼に魅力をアピールする地域振興に力を入れ、多種多様なイベントが展開される。
同フェスティバルのメーンとなる「第9回国際陶磁器展美濃・国際陶磁器コンペティション」は、陶磁器のデザイン・文化の国際的な交流を通じて、陶磁器産業の発展と文化の高揚に寄与することが目的。毎回審査を世界的に著名な審査員によって行い、前回は世界56国・地域から3,284点の作品が集まり、その規模と質の高さから世界を代表する陶磁器コンペティションといわれている。
同コンペでは来年1月10日まで応募作品を募集している。特定のテーマを設定せず、既成の概念にとらわれない自由な発想で陶磁器の未来を切り拓く作品を募集。募集部門は、実用機能を有する分業システムのよる大量生産品の「陶磁器デザインファクトリー部門」と実用機能を有する個人の手作業を主とした少量生産品の「陶磁器デザインスタジオ部門」、「陶芸部門」の3つ。応募条件は過去3年間に作られた作品で、他のコンクールに出品していないもの。
賞はグランプリ(副賞500万円)1点、金賞(同100万円)2点、銀賞(同50万円)4点、銅賞(同30万円)8点、審査員特別賞(同20万円)9点など。募集要項は、http://www.icfmino.com からダウンロードできる。
古九谷論争を取り上げた「古九谷論争の真実」「真実の古九谷」の著者、二羽喜昭氏が3作目の「古九谷論争の最期・神の手の贈物伊万里説」(新書判、230頁)を時鐘社より発売した。
同書は20年前に有田の登窯の発掘から古九谷の色破片が発掘されたことで「古九谷は伊万里で作られた」とされたことへのねつ造疑惑を取り上げ、近年の伊万里説の動向など新事実を加えさまざまな角度から問題点を追及している。
「古九谷=伊万里」のきっかけは昭和47年に有田の発掘で、古九谷の色破片が出土したと報告されたことに始まる。そして平成3年に文化庁機関と陶磁学会が、その破片を物証として伊万里説を採択する。しかし発掘調査報告書には「破片は登窯跡からの出土」としていることからねつ造疑惑が浮上、著者は「古九谷の色絵のやきものは『登窯では絶対に焼けない』」として異論を唱える。
「色絵を焼くのは上絵窯という陶業のイロハも知らない人間が外から破片を持ち込んだのではないか」という疑念のもとに「第1章発掘はじまる」「第2章伊万里説は国策か」「第3章発掘報告書の改編」「第4章シンポジウムと展覧会」「第5章機能しない陶器学会」「第6章推進派と批判派」「第7章古九谷論争の最期」の7章仕立てで疑惑を追及している。
サブタイトルにもなっているが、かつて「旧石器ねつ造事件」と同じ手口がここでも起きたのではないか、と一石を投じている1冊。
(時鐘舎、800円)
「大日本 明治の美 横浜焼、東京焼」(A5判、184頁)が㈱叢文社から発刊された。
本書は、明治初期に確立した横浜焼、東京焼の貴重なコレクションを解説した写真集。明治初期に絹や茶、陶磁器などの輸出港としてにぎわっていた横浜には、当時、京都や有田をはじめ全国から陶工が集まりはじめ、約70ほどの窯場があり、ウィーン万博などを通じ、横浜焼は欧米で高い評価を受け、ジャポニズムの一大ブームを巻き起こすこととなった。
本書は、横浜焼を代表する真葛香山の細密な高浮彫手法を用いた横浜真葛焼作品をはじめ、他の横浜焼の作家作品、東京焼の作品などを網羅し掲載している。真葛香山の代表作「渡蟹水盤」や「高浮彫東照宮眠猫覚醒蓋付水指」などをはじめとする過剰なまでの細密描写は独自の美を生み出し圧倒される。
著者の田邊哲人氏は、真葛香山の研究家で掲載作の大部分を所蔵。また、「スポーツチャンバラ」を創始して、国際的スポーツとして広げる活動に従事。国際スポーツチャンバラ協会および(社)日本スポーツチャンバラ協会会長に就任している。
(叢文社刊、2,100円)
土鍋を一器多様に使ったレシピを紹介した本「スゴイぞ!土鍋」(B5変形、95頁)が(株)講談社から発行された。
伊賀の窯元土楽の福森道歩氏が土鍋で(誌面では土楽の「口付黒鍋」「ポトフ鍋」を使用)定番のすき焼き、おでんといった鍋物、角煮、ロールキャベツ、ハンバーグなどの煮込み料理、ローストビーフやビビンバ、ステーキなどの焼き物のほかにも蒸し料理、炒め物やスイーツ、ご飯炊きなど、1年中使える多彩なレシピを紹介している。
このほか土鍋料理の火加減のポイントや鍋の使い方、手入れ方法もわかりやすく解説しているので、自宅で鍋料理をあまり作らない初心者にも理解しやすい。
同氏が料理研究家の村上祥子氏、辻調理師専門学校で学んだ料理の知識と、自らろくろを回して焼いている伊賀の土の特性を理解して作った土鍋料理の極意。
(講談社、定価1,500円)
首都圏の主要地域を網目状に結ぶ首都高速道路。その有効活用は物流効率化の実現に貢献する
陶磁器業界は、店舗配送の効率化に向けた配送システム再構築の取り組みに当たって、首都高速道路の利用メリットが改めて見直されている。
この背景には配送コストの高騰がある。つまり、トラック運行に不可欠な燃料(軽油)やエンジンオイル、グリスといった油脂類、タイヤといった消耗品の価格が上昇しており、物流の基本コストである運行3費(燃料&油脂類、メンテナンス・タイヤ&バッテリー)の低減が大きな課題として浮上している。その対応として、省燃費に有利な定速走行を実現する高速道路の走行メリットがいま改めて見直されているというわけである。
物流コストの削減という観点から、首都高速道路の利用メリットを検証してみると――。
省エネルギーセンターが実施した都心の道路走行データ(2004年)によると、一般道路走行時の燃料消費量は繰り返される発進&停止で燃料消費量全体の6割近くを占めている。その点、信号のない高速道路を走行すれば、発進&停止の無駄な燃料消費がなくなる。
特に比重の大きい陶磁器の輸送&配送は、重量物運搬に位置づけられるところであり、陶磁器製品を運ぶトラックは発進や加速時にエンジン負荷が大きくなる傾向が強い。つまり、燃費は悪化しやすい方向にある。信号による発進&停止がない高速道路を走り、かつ緩やかな加速を心がければ、大幅な燃費改善が期待できる。ちなみに、負荷のかかる発進&停止の回数を抑えれば、メンテナンス回数やタイヤ摩耗の抑制などにも有効であり、トータルで相当なコスト削減を実現できる。
配送効率の点に関しても、発地と着地がともに首都高速道路を利用しやすい条件であれば、最短距離かつ速い車速で配送できるため、大幅な時間短縮や配送効率の向上を実現、配送車の稼働台数削減も期待できる。
こうした省燃費&効率化を享受できれば、首都高速道路の利用コストを差し引いても、コスト削減メリットは大きい。
首都高速道路中央環状線・山手トンネルが開通、首都高速道路の利用環境は好転しているが、さらに渋谷線~湾岸線を結ぶ中央環状品川線が開通して首都高速道路ネットワークが強化されれば、首都圏の陶磁器物流は配送拠点再配置を含む配送体制見直しが加速する可能性は高いといえる。
(「陶業時報」2010年7月15日号掲載)
首都高速道路は色分けされた方面標示看板や急カーブ対策の視線誘導灯&カーブ警戒ゼブラ板など安全対策も万全で走りやすい
陶磁器業界の需要主体は生活必需品である食器類。陶磁器専門店や量販店、生活雑貨店など幅広い小売業種で扱われている商品だが、その多様な小売形態および購買行動の変化が配送の難しさにつながっている。
東京都の産業統計によると、都内の家具什器機械器具カテゴリーの小売店数は約8,200店舗(2007年)で小売業種の第3位に位置づけられている。生活アイテムを扱う主要小売業種だが、陶磁器を扱う専門店となると、量販店やライフスタイル提案型の生活雑貨ショップに押され、専門店舗数は近年減少傾向にある。ショッピングモールの誕生で近隣の専門店が閉店に追い込まれるケースも目立つ。つまり、専門店密度が低くなる方向であり、量販店や陶磁器を少量扱う店舗が広い地域に点在する形となっており、これが配送効率の悪化につながっている。
陶磁器の末端物流について、都内に本拠を構える陶磁器卸の担当者は首都高速道路利用と絡めて次のように語る。
「都近郊の小売店に配送する場合は首都高速道路を利用して配送したり、配送量や配送先の立地に応じて運送事業者に依頼したりと条件に応じて使い分けているが、点在する都内の小売店に対しては条件的に一般道路を走って配送するほかない。そういう意味では都内の一般道路の渋滞緩和を望むところである。特に渋谷周辺は交通が混みやすい地域であり、山手トンネル開通による交通分散効果で渋滞緩和が進むことを期待したい」
ちなみに、陶磁器業界の山手トンネル開通のとらえ方は、瀬戸に代表される陶磁器産地と消費地間の拠点間輸送、特に関東以北への輸送において、首都高の都心環状線を経由せず、東名・用賀から常磐道や東北道へ乗り入れられるようになったこと、それに伴う時間短縮効果を大きなメリットとして評価している。
広範囲に点在する小売店舗。そうした条件を前提に配送効率化を目指すには配送システムを再構築するほかない。そのためには陶磁器メーカーや卸はもちろんのこと、小売店舗側の協力を含めて多角的な検討が求められるところだが、ここにきて、配送効率化の考え方に環境負荷抑制や物流コスト低減といった新たな視点が加わり、首都高速道路の利用メリットを改めて見直す動きが出始めている。
(「陶業時報」2010年7月5日号掲載)
長谷園の土鍋を使って料理上手になるレシピ本「ザ・土鍋力」(AB判、81頁)が(株)講談社から発行された。
土鍋というと「冬」のイメージが強いが、料理研究家の濱田美里氏が1年中活躍できる調理道具としてさまざまレシピを紹介。人気を集めるタジン料理から、肉じゃがやカレーといった定番物、蒸し料理、パエリヤや炊き込みご飯、パンやお菓子の作りかたまで幅広く掲載している。レシピ以外にも、土鍋を使いこなすコツ、手入れ方法も紹介し、同社の土鍋の魅力を伝えている。
(主婦と生活社、定価1,260円)