SLOWHOUSE天王洲でポップアップストアをオープン
東京西海㈱は花器ブランド「ha’」(ハ)の日本国内での販売に先駆け6月3~18日、アクタスの運営するSLOWHOUSE天王洲でポップアップストアをオープンした。先行販売を実施、併せてテーブルウエアブランド各種も販売した。 「ha’」 は、英・ロンドンに拠点を置いて活動するプロダクトデザイナー、Sebastian Bergne(セバスチャン・バーン)氏によるもので、チューブのようなユニークな形状の「Tuba」3サイズとリンゴのような丸みをもつ「Fruit」の4種、各3色からなる。 花器としての使用だけでなく、食卓ではカトラリースタンド、デスク回りではペン立てや新聞スタンドなどと、目的によって色々なアイテムと組み合わせて取り入れることができる。
色々なアイテムと組み合わせられる 「ha’」
ポップアップでは、インテリアスタイリストの作原文子氏による空間を披露。また5日のプレス向け内覧会では児玉賢太郎社長と西海陶器㈱・開発ディレクターの阿部薫太郎氏による開発経緯などを語るカンファレンスが行われた。
児玉賢太郎社長(左)と開発ディレクターの阿部薫太郎氏(右)
児玉社長は「これまでの波佐見焼はロープライス食器がメーン。波佐見焼の将来に必要なものとして、高価格商品の開発、さらに世の中にないものへの挑戦」と話し、バーン氏からさまざまなアイテムの提案があった中で初めて食器以外の商品に挑んだ理由を語った。さらにデザイナーの求める色を出すためには、土から作る必要があり、結果的に有田での生産となったことや、鋳込み(いこみ)での量産、効率、価格と、食器づくりとは異なるノウハウの蓄積が始まったことなとを述べ、「将来海外のデザイナーと直接モノづくりのできる産地にしたい」と抱負を語った。
「ha’」は 欧米でも販売
「ha’」 は昨年9月のパリの展示会で発表し、既に欧州と北米で販売がスタート。国内では7月から販売する。 Bergne 氏はデザイン関連のキュレーター、講演者、コメンテーターとしても活躍、ニューヨーク近代美術館やデザイン・ミュージアム(ロンドン)にも作品が収蔵されている。
青木美穂氏が講師を務めた「サケグラスセミナー」
東京台東の「第11回モノマチ」(主催・台東モノづくりのマチづくり協会)が5月24~26日、台東区南部エリアで開催された。製造・卸の集積地としての歴史をもつ台東区南部エリア(御徒町―蔵前―浅草橋2キロ四方の地域)を歩きながら、「街」と「ものづくり」の魅力に触れることを目的に、地元有志によって2011年から始まった。今年の参加出店は、昨年の過去最高175をさらに上回る195件。5月としては記録的猛暑の下、エリアはワークショップ、イベントなどを含む多くの来場者でにぎわった。 木本硝子では、同社が各地で行う「サケグラスセミナー」を23、24日計6回で初企画。セミナーは同社の日本酒専用グラスを使用し、酒の味わいや香りの変化を体験するもの、営業部・青木美穂氏が講師を務めた。日本酒ナビゲーターの資格を持つ青木氏は「社長がリーデル社のワインのための各種形状のグラスに着想を得、5年ほど前から1万銘柄にもおよぶ日本酒のためのグラス開発に着手した。今では日本酒専用のグラスは120種に」と述べ、初公開の同社プロモーションビデオを見たあと、東京の地酒「置守(おくのかみ)」を日本酒造組合推グラス、「es」シリーズ2種の計3種のグラスで味わった。 参加者から「グラスの飲み比べは購入しないと体験できない。ユニークな体験ができた」「今日から意識が変わりそう」などの声が上がった。青木氏は「大手酒造メーカーの生産量は減少傾向だが、こだわりある小さな蔵元の消費量は伸びており、それを女性が支えている。弊社の取組みはそうした蔵元からも喜ばれている。グラスの特徴を知り、気分でグラスをチェンジするスタイルに挑戦してほしい」と結んだ。
自社ブランドショップ内にオープンした飲食店「小昼屋(こびるや)」 (撮影:Satoshi Asakawa)
ライフスタイルブランド「NAGAE+」(㈱ナガエプリュス、長柄洋一社長)は5月30日、東京外苑前の自社ブランドショップ内に飲食店「小昼屋(こびるや)」をオープンした。 小昼は北信越や東北地方に引き継がれる食文化で、小休憩、転じておやつ、間食を意味する言葉。同社取締役の鶴本晶子ブランドディレクターは「ちょっとした小休憩の時間であり、その土地の伝統食を食べながら情報交換をするコミュニティーの場。職人のライフスタイルを支えてきた『小昼』を現代に蘇らせ、上質な小休憩の場を提案するとともに、クリエイターが情報発信できるプラットフォームであり、さらに日本産のプロダクトを発表するステージでもある」と話す。 供されるのは献上加賀棒茶と北陸を中心に全国から厳選した菓子の「茶の小昼」(1500円、税別)と、利き酒師の中山士門氏セレクトの日本酒3種に、ほたるいかやラウス昆布などのつまみのペアリング「酒の小昼」(2500円、税別)。「茶」には陶芸家・森岡希世子氏のポットと湯呑み、自社のすずや金属のプレート、「酒」には、「TRAVEL CHOCO」、木村硝子店のタンブラーなどをセレクトして用いる。
「茶の小昼」で使われる森岡希世子氏のポットと湯呑み、自社の金属プレート (撮影:Satoshi Asakawa)
同社は1954年創業の富山・高岡市の金属加工メーカー㈱ナガエが母体。日本の伝統と金属加工の最先端技術を掛け合わせ、すず食器、すずアクセサリー、美容ツールなど数々のプロダクトを発表、昨年11月にブランド初の直営店を開設した。店内にはキッチンとカウンター、テーブル、プレゼン用のプロジェクターを完備する。6月24日には航空宇宙産業技術と萬古焼から生まれた土鍋「bestpot」(三重県・㈱モラトゥーラ)の新作発表会を行う。
約1500アイテムの雑貨がならんだ
フィンランドと日本の外交関係樹立100周年を記念した「フィンランドフェア」(フィンランド大使館商務部共催)が6月6~11日、松屋銀座8階で開催された。 会場ではフィンランドの国民的チョコレート、ファッツェルや、東京初上陸の菓子などが販売されたほか、できたてのフィンランド料理を味わうイートインコーナーを設置、トナカイのソーセージやサーモンスープ、ベリーのスムージーなどが楽しめた。また雑貨のコーナーでは、昨年11月に開業した北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」(埼玉県飯能市)から、マグカップや皿などを含む約1500アイテムの雑貨が登場した。
「フィンレイソン」の「エレファンティ」特設コーナー
フィンランド最古のテキスタイルブランド「フィンレイソン」は、50周年を迎えた「エレファンティ」特設コーナーを設け、ゾウをかたどったプレートやゾウ柄のマグもならんだ。さらにムーミンの集積コーナーには、メラミン、陶磁、ガラスなどのキャラクター食器も大きくラインアップ。陶磁類はほぼ山加商店のもの、多彩な商品群が一堂に会した。
挨拶する 駐日フィンランド大使
初日開店前のメディア内覧会では、駐日フィンランド大使を迎えたほか、試飲・試食会を企画。今年3月にはムーミンの物語の世界観を体験できる「ムーミンバレーパーク」にGWには10万人以上が来場するなど、日本における北欧人気は衰え知らず。在日フィンランド商工会によると、2017年のフィンランドから日本への輸出量は、前年比約28%増、18年はさらに14%増加している。
「コトモノミチat TOKYO」 の外観
㈲セメントプロデュースデザイン(本社・大阪市西区、金谷勉社長)は、モノづくりの発信拠点ショップ「コトモノミチ at TOKYO」を東京都墨田区業平4-7に移転、5月17日にオープンした。 場所は東京スカイツリーの膝元押上駅から600メートルほど錦糸町駅に向かうバス通りの1階角地(66平方メートル)、2階には東京オフィスを置く。間口4間ほどの開放的な店内には、日本各地の地場産業の発展と継続を目的とし、産地とデザイン、ユーザーを繋ぐプロデュース業務から誕生したニット柄の「トレースフェイス」(エムエムヨシハシ、瀬戸焼)の湯呑みやペンダントライト、土岐(大東亜窯業)と益子(つかもと)の植木鉢「匣庭」、多治見市・セレック製の「ティー メイト」ほか、墨田区の切子の小箱「切匣」(廣田硝子)、プレス技術から生まれたフードピック(笠原スプリング)などの小物などを展示販売する。さらに熊本のステンレス工場と墨田区の革小物会社をコラボさせたスツール、ショップサインは東大阪・金属加工メーカーからの寄贈と、同社の幅広い活動が見て取れる。
幅広い商品がならぶ店内
金谷社長はオープニングパーティで「全国の町工場や工芸職人の現状は、1社単独では解決できないことも多く、今後は工場同士の強固な関係と新たなモノづくりのカタチが問われてくる。作り手の悩みをデザインで改善出来ないか、考え方をシェアしつつ墨田区を盛り上げたい」と挨拶。ショップを拠点として、今後もワークショップや異業者交流会、勉強会などを企画していく。 同社は2014年東京表参道に、これまでプロデュースする地域商品をはじめとする「次世代の新しい日本を感じるギフト」を購入でき、しかもショールーム機能も備えたショップとして同店を開設、今回移転開店した。さらに同店は19年から墨田区が外部の人材を呼び込み、推進する事業「新ものづくり創出拠点」となっている。 また墨田区は区内に4年制大学がないことから18年から大学誘致を進め、2校の誘致を実現している。20年4月に学校法人電子学園(東京都新宿区)が「i 専門職大学」を開校、21年4月に千葉大学が墨田キャンパスとして「デザイン・建築スクール」を開設する。区は千葉大学、電子学園と包括的連携に関する協定を結んでおり、人的・知的資源の交流による地域の発展と人材育成を進めていく。
ハローキティ 香立て(花・梅)
小売り大手の㈱たち吉(京都市、石田章夫社長)はこのほど、人気キャラクター「ハローキティ」とのコラボレーション商品第5弾「ハローキティ 香立て」を発売した。 ハローキティとのコラボでは、これまで食器類や置物をラインアップしてきた中、今回は伝統的な香り文化に着目。舞妓の衣装を着た3.5センチのキティちゃんが、香立てを持ってちょこんと座っている姿がなんとも可愛らしい。キティちゃんの着物には、京都の職人が赤絵や呉須で縁起の良い絵柄を絵付けしていて、梅、桜、市松模様の赤、青の4種をラインアップ。着物柄によってキティちゃんが持っている香立ての形も変えており、花柄の衣装には花形、市松模様には扇子形と、細部にもこだわっている。価格は1万2000円で美濃焼の受け皿が付属するほか、キティちゃんの和風絵柄が入った赤いパッケージにも注目だ。 同社オンラインショップ(https://tachikichi.jp )のほか、関西国際空港店、COTODECOグランデュオ蒲田店・御影クラッセ店でも販売している。
佐倉城址公園本丸跡地に98組が集結
千葉県最大級の屋外マーケット「にわのわアート&クラフトフェア・チバ」(主催・同実行委員会、https://niwanowa.info )が6月1、2日、千葉県・佐倉市の佐倉城址公園本丸跡地で開催された。 参加は98組(陶磁器32組、ガラス8組、木工・漆13組)。2年連続整理券を配布した地元千葉の夫婦作家「うつわやみたす」、同じく整理券配布の笠間・阿部慎太朗氏などの人気作家のほか、熊本、奈良、大阪、福島と陶産地外を活動拠点とする各地の作家が増加、初参加作家も10人近くとなった。
推薦枠からは愛知・瀬戸窯業高校卒同地で独立、3年前から東京に拠点を移した林健二氏と、東京・スパイラルのオリジナル食器を提供する荻原千春氏と動物の付いた花器などを作る妻・朋子氏の2組。静岡・村上裕仁、愛知・阿部有希、千葉・寺田昭洋の3氏は2年前からスタートした千葉・九十九里の「くらしずく」メンバー、千葉・本八幡「工房からの風」の静岡・平厚志氏らの顔ぶれもあった。 初参加で客足が絶えない作り手の一人が愛知県立窯業高等技術専門校卒、多治見・studioMAVOで制作する河合竜彦氏。貫入釉に柿渋を加えたアンティークスタイル、ファッション系の秋冬展示会で発表されたものに似ており、トレンド感の高い女性客を中心に人気を博していた。
「今回の陶磁器はカラーが渋め」と実行委員が評するように、白もの、モノトーン系が目立ち、福島・キダサトコ氏のりんごや動物モチーフのビビッドな加飾、千葉・志村和晃氏の染付などの絵付けが少数派だ。 同フェアは「千葉」をキーワードとして募集選考し、今年が8回目(プレ開催あり)の開催。昨年と同じく延べ2万4000人を動員。入場者数も安定し、イベントとしての定着がうかがえた。
「Gift Concierge futo 南青山shop」の外観
ギフトのためのセレクトショップ「Gift Concierge futo 南青山shop」(東京都港区南青山5-13-4 Nビル1A、運営・㈱インターラクト、約40平方メートル)が6月4日、東京南青山にオープンした。 雑誌や広告、女優のスタイリストとして活躍する河井真奈氏が30年にわたる仕事の中で出合った「世の中にある素晴らしいモノ」「モノづくりの背景」を発信するため2016年、ギフトをテーマにネットショップ「futo」(https://futo.jp )を開始した。さらに顧客からの実店舗をとの要望を受け、そのリアル店舗として骨董通りを少し入った場所に出店。取り扱うのは茶葉などの食品、伝統工芸から生まれた品々、布ものなど約40ブランド、ネットショップより多くの商品をラインアップする。
食品や伝統工芸など約40ブランドがそろう店内
食器関連では輪島キリモトのマグカップ、ナガエプリュスの「TRAVEL CHOCO」、木村硝子店「ベッロ」「バンビ」やシャンパングラス、陶磁器はオリジナル「ならまち平茶碗」(奈良・万葉窯)とスタッキング皿「五重丸」(5皿セット、瀬戸内・モーネ工房)などがならぶ。またこけら落としとして、レクサス匠プロジェクトで桐製のビア杯「鳳凰」を手掛けた伝統工芸士・東福太郎氏の桐商品を特集する。
伝統工芸士の東福太郎氏(中央)
「私の考えるギフトは、飾り仕舞っておくものでなく、使えるものであること。ギフトプラスアルファとして、喜んで使ってもらえることが大切。今後は企業向けのギフトや、引き出物といったパーソナルギフトのスタイリストとしての仕事も手掛けたい。そのためのショールームでもある」と河井氏は述べる。
「青花窓絵山水文壺」 19世紀末 高麗美術館所蔵
「朝鮮王朝末期の輝き・語り継ぐ朝鮮の美」が、京都市北区の高麗美術館で、8月20日まで開催されている。 朝鮮王朝は1392年から1910年まで、519年にわたり朝鮮半島を統治した王朝だ。高麗の武将だった李成桂を太祖とし、王朝の支配体制を確立する初期、日本や清の侵略を受けた動揺期、政治の安定期から世界の潮流が押し寄せた王朝後期へと、その長い歴史にはさまざまな局面があった。また文化の面でも、仏教を背景とする高麗の文化から、儒教精神に基づく精神性の高い文化へと変化が見られた。 そして今回スポットが当てられるのが、朝鮮王朝末期の文化とその輝きだ。朝鮮王朝末期は上流階級の文化が、一般社会に広がりを見せた時代だったという。例えば、男性が持つ文房四宝などに見る道具の多様化、女性用の家具に見る色彩装飾など、より朝鮮らしい鮮やかな色彩を追求し、個性を生かそうとする流れが見られる。 日本への併合により朝鮮王朝が滅亡する前後になると、日本の東京美術学校などに留学する学生もあり、近代化を進める日本と同様に、朝鮮の美術や工芸にも新しい風が吹くようになった。 同展では近代以降の王朝文化継承の過程で生まれた書、工芸、絵画など約70点を展示。陶磁器では白磁に青花で雲龍文を施した壺に焦点を当て、朝鮮王朝時代らしい作品と、末期の辰砂なども用いた華やかな作品との比較展示も見ることができる。青花だけの作品も「青花窓絵山水文壺」のように、しっかりと絵付けされた印象だ。 さらに2017年にユネスコ「世界の記憶」に登録された同美術館所蔵の「朝鮮通信使」資料も特別展示されている。