近世・近代の茶陶 窯場名工名鑑 [著]黒田和哉
東京・銀座の㈱黒田陶苑の黒田和哉氏が「近世・近代の茶陶 窯場名工名鑑」(A5判、374頁)を㈱淡交社より刊行した。
本書は、江戸時代から明治、大正、昭和期にかけて全国で生み出された茶陶を地域ごとに分類し、作品と銘・印を約830点の図版で紹介。あわせて各窯の歴史、特徴と茶陶を生み出した陶工、茶人、数寄者など陶作家たちの生い立ちを解説している。
全部で7章で構成され、北から南まで全国地域ごとに解説。瀬戸や常滑、初期伊万里などの有名所だけでなく、東京の後楽園焼や沖縄の湧田焼など普段耳慣れない窯場も記述してる。
長い歴史を持つ茶陶は平坦な道を歩んできたわけではなく、ときの施政者によって創窯または廃窯となった。廃窯となった陶家、陶工たちは四散し、優れた技法は伝わることなく、作品は幻となり、後世その技法を復元することは困難を極めた。
現在でも不明、不詳の茶陶も多い中から茶碗の現物、窯場の所在、名款の明確なものを掲載した茶陶の歴史を探る一冊。
(淡交社、2,940円)