近代日本の陶磁器業―産業発展と生産組織の複層性 [著]宮地英敏
『近代日本の陶磁器業―産業発展と生産組織の複層性』(A5判、404頁、宮地英敏著)が(財)名古屋大学出版会から刊行された。
同書は、近世以来、陶磁器の主要産地である瀬戸、東濃、京都、有田などの産地が、西洋技術の消化吸収と各国市場への適用によって近代的な産業として発展し産地の構造が変容していく姿を描き出すとともに、近代陶磁器業の成功の頂点をなしたノリタケの大工場制の成立を産地構造の展開を視野に入れて浮き彫りにしている。
また、近年再評価が著しいオールドノリタケをはじめとする近代陶磁器の評価と研究に確かな視座を与えるだけでなく、大工場、中小工場、零細企業が層を成して発展していく姿を描いた同書は、経済史上の日本の分厚い中小企業層の形成の起源を考えるうえでも大きな示唆を与える。
(名古屋大学出版会価格、6,930円)