知られざる魯山人 [著]山田和
山田和(やまだ・かず)氏の著書「知られざる魯山人」は4月7日、第39回大宅壮一ノンフィクション賞(日本文学振興会主催)を受賞した。正賞100万円。贈呈式は6月23日午後6時から帝国ホテルで行われる。山田氏は1946年、富山県生まれ。1996年、「インド ミニアチュール幻想」(平凡社刊)で第19回講談社ノンフィクション賞を受賞している。
北大路魯山人に関する著書は数多く刊行されているが、同書ほど詳細に描いた評伝は今までにない。山田氏は魯山人の関係者や遺族ら計80人に直接会い、綿密な取材を重ねた。魯山人に関する文献にも、ほとんど目を通している。実際、魯山人の実父は不明で、戸籍上の父は魯山人の母が不貞をはたらいて他人の子を身ごもったことに悩み、自刃(割腹)したと記している。同時に、「魯山人はなぜ、紅(あか)にこだわったのか」が解き明かされている。
同書以上の克明な書籍が刊行されることは、しばらくないと思うほどの大作である。
(文芸春秋、単行本 3,000円、文庫1,150円)