大日本 明治の美 [著]田邊哲人
「大日本 明治の美 横浜焼、東京焼」(A5判、184頁)が㈱叢文社から発刊された。
本書は、明治初期に確立した横浜焼、東京焼の貴重なコレクションを解説した写真集。明治初期に絹や茶、陶磁器などの輸出港としてにぎわっていた横浜には、当時、京都や有田をはじめ全国から陶工が集まりはじめ、約70ほどの窯場があり、ウィーン万博などを通じ、横浜焼は欧米で高い評価を受け、ジャポニズムの一大ブームを巻き起こすこととなった。
本書は、横浜焼を代表する真葛香山の細密な高浮彫手法を用いた横浜真葛焼作品をはじめ、他の横浜焼の作家作品、東京焼の作品などを網羅し掲載している。真葛香山の代表作「渡蟹水盤」や「高浮彫東照宮眠猫覚醒蓋付水指」などをはじめとする過剰なまでの細密描写は独自の美を生み出し圧倒される。
著者の田邊哲人氏は、真葛香山の研究家で掲載作の大部分を所蔵。また、「スポーツチャンバラ」を創始して、国際的スポーツとして広げる活動に従事。国際スポーツチャンバラ協会および(社)日本スポーツチャンバラ協会会長に就任している。
(叢文社刊、2,100円)