幻の有田焼ジュエリー「トシカネ」の企画展、東京渋谷で開催


近年、海外コレクターの注目を集めている「トシカネ」 (©Supercraft TOSHIKANE JEWELRY)

 幻の有田焼ジュエリー展「Supercraft TOSHIKANE JEWELRY」が7月7~18日、東京渋谷・HOLE IN THE WALL(学校法人水野学園)で開催されている。
 同展を主催する「Missinglink」(https://www.missinglink.tokyo)は、歴史の中に埋もれたロストテクノロジーを見つけ、それらを伝え未来に繋げる遺産教育プロジェクトで、同展はその第1弾。ピアスの小さいものは長辺1センチもなく、超絶技巧ともいえる緻密な絵付けが施されている磁器ジュエリー「俊兼ジュエリー(通称トシカネ)」の700点以上のコレクションを紹介する世界初の企画展だ。

会場では700点以上の「トシカネ」を紹介

 「トシカネ」は有田で磁器製作に携わる小島俊一氏と絵付け師・南兼蔵氏が、1931年佐賀市で帯留め作りとしてはじめたブランド、2人の名から「トシカネ」となった。太平洋戦争下ではぜいたく品として制作禁止、戦後は進駐軍向けにピアスやボタンといったアクセサリー作りに乗り出す。竜や般若、芸者、扇子といった東洋的なデザインが欧米人に好まれ、年間数万個の注文という時期も。85年のプラザ合意による世界的な景気低迷の影響で、米国への輸出が完全にストップ、次第に姿を消し「幻のジュエリー」となった。現存するものだけという稀少価値から、近年海外のコレクターに再び注目を集め、1円玉サイズで数万円という高値で取引されている。

緻密な絵付けとリアルな造形の「トシカネ」(©Supercraft TOSHIKANE JEWELRY)

 「Missinglink」は、有田町でコミュニティスペース「ファウンテン・マウンテン」を運営するデザイン事務所㈱スロウ(東京都)の原大輔と甲賀ゆうこの両氏が中心となって始めた。有田からは㈱玉有、㈲藤巻製陶、㈱徳幸、㈲吉右ヱ門製陶所、中島瞳氏が技術協力として参画。また全国巡回展と図録制作に向けて支援を求めるクラウドファンディングも「モーションギャラリー」内(https://motion-gallery.net/projects/toshikane)に立ち上げられている。9月18日まで。

会場で商品について説明する甲賀ゆうこ氏